突然ですが、オオカミ御曹司と政略結婚いたします
――約束の時間の五分前。
「よく来たな、立花」
立花家が到着したと言われ、祖父や両親とともに玄関で彼らを出迎えた。正装の袴に着替えた祖父は、結納品を抱えた立花のおじい様を見つけ、嬉しそうに何度も彼の肩を叩いていた。私も数えるほどだがお会いしたことがある彼は、いつも豪快な笑顔を浮かべているのが印象的な人だった。
しかし、今日は、その目には薄らと涙が滲んでいる。
立花のおじい様も、本当にこの日を待ち侘びていたんだ。
「ご無沙汰しております、立花様。日菜子でございます。この度は、このようなことになり誠に申し訳ございませんでした。お忙しいところを御足労いただきまして、ありがとうございます」
帯の前で手を重ね、深々と頭を下げた。サイドでまとめてもらった長い茶色の髪の先と髪飾りが、頬へと垂れて視界の端で揺れている。