突然ですが、オオカミ御曹司と政略結婚いたします
「日菜子さん、頭を上げてくれ。ほら、創(そう)。お前も早く入りなさい」
三和土(たたき)の土間に、ジャリ、と草履の靴音が響いた。
「ご無沙汰しております。立花 創と申します。本日は、貴重なお時間をいただき、ありがとうございます」
低い耳あたりの良い声だった。私は心を決め、辿るように顔を上げる。
……この人が。
現れた男性の姿を目の当たりにして、深い驚きを吐き出すように小さく息をついた。
後ろへ流された長めの黒髪、高い鼻梁に、切れ長の大きな目。五つ紋付き袴を身にまとっていてもわかるすらりとした長身の彼は、隣に立つ祖父よりも頭ひとつ分近く背が高かった。
祖父も別に小柄なわけじゃないのに。……それにしても、なんて端整な顔なの? 眉目秀麗(びもくしゅうれい)って言葉は、こういう人のためにあるのね。これだけの容姿なら、きっと女性も放ってはおかないと思う。それなのに、当日になって急遽変更された婚約者と結婚させられるなんて、気の毒な人だ。
心の中で冷静に言ってはみたものの、相手が自分なんだと思い返し、目眩がする。
三和土(たたき)の土間に、ジャリ、と草履の靴音が響いた。
「ご無沙汰しております。立花 創と申します。本日は、貴重なお時間をいただき、ありがとうございます」
低い耳あたりの良い声だった。私は心を決め、辿るように顔を上げる。
……この人が。
現れた男性の姿を目の当たりにして、深い驚きを吐き出すように小さく息をついた。
後ろへ流された長めの黒髪、高い鼻梁に、切れ長の大きな目。五つ紋付き袴を身にまとっていてもわかるすらりとした長身の彼は、隣に立つ祖父よりも頭ひとつ分近く背が高かった。
祖父も別に小柄なわけじゃないのに。……それにしても、なんて端整な顔なの? 眉目秀麗(びもくしゅうれい)って言葉は、こういう人のためにあるのね。これだけの容姿なら、きっと女性も放ってはおかないと思う。それなのに、当日になって急遽変更された婚約者と結婚させられるなんて、気の毒な人だ。
心の中で冷静に言ってはみたものの、相手が自分なんだと思い返し、目眩がする。