突然ですが、オオカミ御曹司と政略結婚いたします
儀式は私の意志とは裏腹に、速やかに進められた。
初めの挨拶から始まり、まずは男性側から結納品を受け取る。確認したら受書を渡し、同じ流れを今度はこちらからも行った。気がつけば、もう締めの挨拶が行われている。
結納ってこんなに短いものなのね。さすがにこの厳粛な雰囲気の中じゃ、待ったなんて言えるわけがなくてここまで来てしまったけど、これが終わったら祝宴。おじいちゃんに話すチャンスがやって来る。
向かい合う形で座る彼をじろりと見つめた。新郎、新婦が互いに口上を述べたときに見た彼は、玄関先での言葉が嘘のように、真剣な顔つきでこの場に臨(のぞ)んでいた。
ずいぶん、上等な仮面ね。
心の中で悪態をつきながら、無事に儀式が済み、一気に祝宴ムードに入ろうとしている中大きく手を上げた。
「お話がございます」
驚いてきょとんとする。同じことを言おうとしたのだけれど、そう発したのは私ではなかったからだ。声の主を辿る。
声を上げたのは、創さんだった。背筋を綺麗に伸ばしたまま正座していた彼は座布団から降りると、皆の方に向かって姿勢を整え直す。