突然ですが、オオカミ御曹司と政略結婚いたします
「どうした、創」

 同じく面食らった表情の立花のおじい様も、小首を傾げながらその様子を眺めていた。

「日菜子さんと、同居させていただけませんでしょうか?」

「はいっ!?」

 な、なにを言ってるんだ、この男は……! 話があるという申し出までは一緒だったのに、内容はまるで正反対。私はこの男の本性を、おじいちゃんにバラしてやろうと思っていたのに。

「ほう、同居とな」

 反応したのは、祖父だった。

 慌てて口を開こうとするが、再び彼に先を越されてしまう。

「はい。立花の家に嫁ぐには、色々大変なことも多いかと思います。先ほどふたりで少しお話したのですが、日菜子さんは突然の結婚話に不安を抱かれているようでした。婚約を発表すれば、心の準備もできないままにすごい騒ぎになります。結納が済んだばかりで非常に恐縮なのですが、なにか起こる前に、私にそばでお守りさせていただきたいのです。お許しくださいますか?」

 彼は畳に手をつき、まっすぐに祖父を見上げた。誠実さを感じさせるその視線に、一同の表情が一瞬にして色めき立っていくのがわかる。

 嫌な予感がする。

 手のひらにじんわりと汗が滲んだ。
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