突然ですが、オオカミ御曹司と政略結婚いたします
「日菜子様?」

 彼はとぼけるように小首を傾げた。きっと、私がなにを言いたいかなんて、全部お見通しなんだと思う。

「……ありがとう」

 清仁の有能ぶりを、初めて憎らしく思った。

「そういえば、真紘は? もう休んでる?」

 思えば、真紘の姿もない。祖父たちは、ハルオのどこかのホテルにいるんだろう。それなら、同行させられたのかな?

「あれなら、今お茶のおかわりのご準備をしております」

「お茶? あぁ、そうなの……」

 家にいるんだ。

「なにかご用でございますか?」

「ううん、大丈夫。ただ気になっただけだから」

 結納の日の真紘の様子を思い出した。

 私が今日出ていくこと、真紘も知ってるのかな? ああ言ってもらったんだもん、気合入れて頑張らないと。
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