突然ですが、オオカミ御曹司と政略結婚いたします
 風を切る音が、徐々に大きくなってきたころ、

「私、今二十五なんですけど」

 目を細めながらおもむろに口を開いた。

 さっきガキって言ってたけど、この人私のこといくつだと思ってるんだろう。童顔でもないはずなのに、背が低いだけで未だに未成年に間違えられることもあるから、少し不安になってきた。前にもちんちくりんって言ってきたし……。

「なんだ? そんなこと知ってる」

「えっ? でも、さっきガキって」

 困惑した。彼は一瞬視線をこちらに流すと、ふんっと片方の口角だけをつり上げる。

「あぁ。あの程度で石像みたいになったからガキって言ったんだ」

「なっ!? 簡単にあんなことができるより、マシだと思いますけど! いきなり女性の懐(ふところ)に飛び込むなんて……」

 どう見ても女慣れしていた。子供のころからお姉ちゃんという婚約者がいたはずなのに、いったいどんな生活を送ってきたのか。想像もしたくない。
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