突然ですが、オオカミ御曹司と政略結婚いたします
「創は、お姉ちゃんに会ったことあるんだよね」

「あぁ、俺が十二歳、お前の姉が十歳のころに一度だけな。まだ婚約どうこうの前だったから、大した話もしなかったけど」

 おそらくそのときに会った印象で、お姉ちゃんに決まったんだよね。創は、たしかおじいちゃんが三十歳って言ってたっけ? 憎まれ口ばかり叩いているせいかそれほど年が離れているような気がしなかったけど、五つも上なんだ。

「婚約者になったって聞いて、どう思った?」

「別に、なんにも。結婚するなら政略結婚だっていうのは子供のころからわかってたし、これがその相手か……くらいにしか思わなかったな」

 彼は眉も動かさない。

 当時のことを思い返した。ちょうど今と同じ、桜が咲いているころだった。顔合わせをした数日後、立花と会うと朝出かけた祖父が、帰って来るなり姉を奥座敷に呼び出したのだ。私はいったいなんの話なんだろうと気になり、こっそりと開けた障子の隙間からふたりを覗いていた。
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