突然ですが、オオカミ御曹司と政略結婚いたします
「私、お姉ちゃんに連絡してみる!」
「かまわん」
意を決して前へと踏み出した足が、祖父のひと言により情けなく畳の上に着地する。
「おじいちゃん……?」
「清仁(きよひと)! 清仁はおるか! 真紘(まひろ)も来い」
問いかけに答えない彼が声を上げると、「はい」と言う返答とともによく見知った顔が姿を現した。耳が隠れる長さの茶髪に、アーモンド型の少しつり目。一瞬視線がぶつかった彼は、困ったような顔つきに見えた。
彼は、春尾家に住み込みで仕える宇賀(うが)清仁のひとり息子――真紘。私よりもふたつ年下の彼も父とともに、この家で生まれてからずっと見習いとして一緒に暮らしていた。私にだけは昔から生意気で、「おい、日菜子」なんて呼び捨てにしては、よく清仁に怒られている彼だけど、使用人以上の特別な、言うなれば弟のような存在だ。
真紘まで呼んで、なにをする気なんだろう……。
「父は、本日の最終確認を行っておりますので、現在少し出ております。すぐに戻ると思いますが……」
真紘が頭を下げながら告げると、祖父は「うむ」と腕を組んだ。真意がわからず、私は眉根を寄せてその姿を眺める。すると、咳払いをした彼が、あっさりととんでもない言葉を口にした。
「日菜子。お前が、澄奈の代わりに出るんじゃ」
――えっ?
愕然とした。一瞬、言われたことが理解できず、ただ大きく目を見張る。
「かまわん」
意を決して前へと踏み出した足が、祖父のひと言により情けなく畳の上に着地する。
「おじいちゃん……?」
「清仁(きよひと)! 清仁はおるか! 真紘(まひろ)も来い」
問いかけに答えない彼が声を上げると、「はい」と言う返答とともによく見知った顔が姿を現した。耳が隠れる長さの茶髪に、アーモンド型の少しつり目。一瞬視線がぶつかった彼は、困ったような顔つきに見えた。
彼は、春尾家に住み込みで仕える宇賀(うが)清仁のひとり息子――真紘。私よりもふたつ年下の彼も父とともに、この家で生まれてからずっと見習いとして一緒に暮らしていた。私にだけは昔から生意気で、「おい、日菜子」なんて呼び捨てにしては、よく清仁に怒られている彼だけど、使用人以上の特別な、言うなれば弟のような存在だ。
真紘まで呼んで、なにをする気なんだろう……。
「父は、本日の最終確認を行っておりますので、現在少し出ております。すぐに戻ると思いますが……」
真紘が頭を下げながら告げると、祖父は「うむ」と腕を組んだ。真意がわからず、私は眉根を寄せてその姿を眺める。すると、咳払いをした彼が、あっさりととんでもない言葉を口にした。
「日菜子。お前が、澄奈の代わりに出るんじゃ」
――えっ?
愕然とした。一瞬、言われたことが理解できず、ただ大きく目を見張る。