突然ですが、オオカミ御曹司と政略結婚いたします
「……おじい様がお帰りになるなら、なにか買って帰ろうか?」

 瞬きも忘れ、彼を見上げたまま答えた。

 本当に、今日は朝からどうしたんだろう。誰かになにかを言われたわけでもないだろうし……。

 心の中はパニック状態だった。すると、バッグから振動が伝わってくる。小さく飛び上がった私は、バッグから未だ振動し続けるスマートフォンを取り出した。

「ちょっと出てくるから、ここで待ってて」

 それだけ告げると、彼から少し離れて画面の通話ボタンを押す。

「もしもし……あ、真紘?」

 電話の相手は、真紘だった。

『おう、俺。仕事終わったのか?』

 慣れ親しんだ特徴的なしゃがれた声が流れ込んでくる。まだ一日ほどしか離れていないのに、すでに懐かしく感じた。

「うん。ちょうど今。どうしたの? あ、皆帰ってきた? 今度帰ったとき、皆に言いたいことがあるって言っておいてね。文句のひとつでも言わないと気が済まないんだから」

『いつもと変わらねぇな』

 彼は安堵したように笑みを漏らす。昨日のことを思い返し眉根を寄せていた私も、つられて表情を柔らかくした。
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