突然ですが、オオカミ御曹司と政略結婚いたします
ガラスケースの中に並ぶ精巧に作られた上生菓子を見つめながら、感嘆(かんたん)の吐息を漏らす。私たちは帰り道にある和菓子店に立ち寄っていた。菜の花をイメージして作られる春らしいなたねきんとんなど、色鮮やかなお菓子たちが漆器の八角盆を綺麗に彩っている。
素敵。和菓子って、こうしてずっと見ていられるのよね。おじいちゃんも芋羊羹が大好物だったから、子供のころから私もよく和菓子店にはついてきたものだけど、ここのも食べられるのが不思議なくらい美しい。
創はというと……。
顔を上げ、視線を流した。彼は、かっちりとスーツを着た四十代くらいの男性からこの店の紙袋を受け取っていた。
あのあと、車の中でも創の機嫌が直ることはなく、私も放っておくのが得策だと無言でここへとやって来た。店に入るなり、創を見てこちらに駆け寄ってきたあの男性は、この店の店長さんらしい。「立花様、いつも大変お世話になっております」と言われていたところを見ると、よほどのお得意様なのだろう。
私にまで丁寧に頭を下げる彼に慌ててお辞儀を返したものの、創との関係を聞かれなくてほっとした。隠す必要はないけれど、こんなときに聞かれたら彼がなにを言うか予想もつかなくて怖い。
まぁ、男性とさっさとお菓子を選びに行ってしまったから、完全に私の杞憂だったわけだけど。どれにする? なんて楽しく選ぶ雰囲気でないのはわかっていたが、もう少し相談してくれてもいいじゃない。本当に、なんなのよ。むしろ、なんで創がこんなに不機嫌になるの? へそを曲げたいのはこっちだ。
「買い物は済んだ。帰るぞ」
紙袋を下げた彼が声を掛けてくる。外まで見送りに出てくれる男性に一礼し、店をあとにした。
素敵。和菓子って、こうしてずっと見ていられるのよね。おじいちゃんも芋羊羹が大好物だったから、子供のころから私もよく和菓子店にはついてきたものだけど、ここのも食べられるのが不思議なくらい美しい。
創はというと……。
顔を上げ、視線を流した。彼は、かっちりとスーツを着た四十代くらいの男性からこの店の紙袋を受け取っていた。
あのあと、車の中でも創の機嫌が直ることはなく、私も放っておくのが得策だと無言でここへとやって来た。店に入るなり、創を見てこちらに駆け寄ってきたあの男性は、この店の店長さんらしい。「立花様、いつも大変お世話になっております」と言われていたところを見ると、よほどのお得意様なのだろう。
私にまで丁寧に頭を下げる彼に慌ててお辞儀を返したものの、創との関係を聞かれなくてほっとした。隠す必要はないけれど、こんなときに聞かれたら彼がなにを言うか予想もつかなくて怖い。
まぁ、男性とさっさとお菓子を選びに行ってしまったから、完全に私の杞憂だったわけだけど。どれにする? なんて楽しく選ぶ雰囲気でないのはわかっていたが、もう少し相談してくれてもいいじゃない。本当に、なんなのよ。むしろ、なんで創がこんなに不機嫌になるの? へそを曲げたいのはこっちだ。
「買い物は済んだ。帰るぞ」
紙袋を下げた彼が声を掛けてくる。外まで見送りに出てくれる男性に一礼し、店をあとにした。