突然ですが、オオカミ御曹司と政略結婚いたします

 * * *

 ――一週間後。

 まだ窓の外は薄暗い朝。なんとなく早く目が覚めて身を起こした。隣を見ると、すでにベッドの中には創の姿はない。

 今日は休みだって言ってたのに、どこに行ったんだろう……。

 創が戻ってきてから、私たちはとくになにかをするわけではなかったが、平凡に毎日を過ごしていた。仕事に行き、時間が合えば一緒に食事をとる。からかわれ腹が立つのも相変わらずだが、少しずつここでの生活にも慣れ始めていた。

 枕の境界線だけは、まだまだ外せそうにないけれど。

 そっとシーツを撫でると、それは体温の余韻など感じさせないほどに冷たかった。どことなく気になって、私は布団から出て寝室のドアを開けた。

 部屋も電気はついていない。
 いないな。そう思い、小さく息をつこうとした瞬間だった。どこからか微かな呼吸音が聞こえてきて、私はそれを辿るように部屋の中央へと進む。

 すると、ソファーの端から、毛布のようなものが垂れているのが目に入った。息を潜め、恐る恐る覗き込む。視界に飛び込んできた姿に、いささか呆気に取られた。
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