夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】
しかし、私の心境を知らないバロンは無邪気な様子で絡んでくる。
ひょいひょいっと色んな角度から覗き込んでこようとする彼から、私は必死に自分の身体でバスケットを守ろうと試みた。
「?……何々?何が入ってんの?」
「!っ……ダメ!これは、その、失敗っ!」
「いいじゃん!見せてよ~!」
「ダ、ダメなのっ!」
こんなの好きな人にあげられない。
最初にあげるプレゼントがグシャグシャなんて、そんなの絶対に嫌だった。
これだけは譲れないとばかりに、ぎゅ~っとバスケットを抱き締める私だが……。
「……。あ、アカリ。
ほら、あっち見てみて〜!」
「?……あっち?
……。!……わぁ~!!」
呼び掛けられて、指を差された方向に広がっていたのは、高い場所から見渡す絶景。
遠くの夕陽が、綺麗に空と海をオレンジ色に染めていて目を奪われる。
「……も~らった!」
「!……へ?」
景色に見惚れていた私。