夢の言葉は魔法の呪文【改訂版】

しかし、私の心境を知らないバロンは無邪気な様子で絡んでくる。
ひょいひょいっと色んな角度から覗き込んでこようとする彼から、私は必死に自分の身体でバスケットを守ろうと試みた。


「?……何々?何が入ってんの?」

「!っ……ダメ!これは、その、失敗っ!」

「いいじゃん!見せてよ~!」

「ダ、ダメなのっ!」

こんなの好きな人にあげられない。
最初にあげるプレゼントがグシャグシャなんて、そんなの絶対に嫌だった。

これだけは譲れないとばかりに、ぎゅ~っとバスケットを抱き締める私だが……。


「……。あ、アカリ。
ほら、あっち見てみて〜!」

「?……あっち?
……。!……わぁ~!!」

呼び掛けられて、指を差された方向に広がっていたのは、高い場所から見渡す絶景。
遠くの夕陽が、綺麗に空と海をオレンジ色に染めていて目を奪われる。


「……も~らった!」

「!……へ?」

景色に見惚れていた私。
< 169 / 475 >

この作品をシェア

pagetop