俺様社長はカタブツ秘書を手懐けたい
月曜日、出社した私は取引先のハースキッチンに電話をかけ、佐藤社長と直々にお話をした。
話がまとまったあと、フロアから戻ってきた不破さんがデスクにつくのを見計らい、さっそくその件を伝えに向かう。最悪、怒られることも覚悟で。
「社長、二十六日の佐藤社長との会食の件ですが」
「あぁ、どうした?」
デスクの前に立つ私を一瞥した彼から視線を逸らさず、思い切って口を開いた。
「勝手ながら、日にちを変更させていただきました」
不破さんはピクリと動きを止めて顔を上げ、今度はじっと私を見つめる。戸惑いと猜疑が混ざった目で。
「……なぜそんなことを?」
「その日は、社長にとって重要な一日だと小耳に挟んだので、会食をずらすことが可能かどうか連絡を取ってみたんです」
私の言葉で意図を察したらしく、彼は目を伏せて大きなため息を吐き出し、椅子の背もたれにドカッと背中を預けた。
その様子からも、苦虫を噛み潰したような表情からも、機嫌を損ねてしまったのは明らかだ。こ、怖い。
「くだらねぇこと吹き込んだのは桐原か」
「誰とは言えませんが」
彼の低く暗い声色に内心ビクビクするも、毅然と答えた。