俺様社長はカタブツ秘書を手懐けたい
* * *

あの日、麗が家で待っていてくれて本当に救われた。

彼女の顔を見ただけで汚い感情は薄れていき、華奢で柔らかな身体を抱きしめたら、すり減った心が補われていくのを感じたから。

クリスマスイブには、一時だけ難しいことは忘れて恋人のような時間を過ごし、愛しさが膨れ上がって欲望のままに彼女を求めた。

これまで口を閉ざしていた過去の話もすべてさらけ出せたのは、彼女に心を許し切った証拠だ。

しかし、リオンの件だけは自分の心の奥に留めておくつもりだった。復讐心にも似た醜い感情を抱いている自分は見せたくなかったから。

この件は密やかに片づけて、麗と穏やかに過ごしていきたかったが、やはりそんな都合のいいことにはできなかった。

まさか、リオンの店主であるあの男性が、彼女の実の父親だなんて──。

墓参りをしたあとにそれが判明し、どうにか彼女の父に対する攻撃的な感情を鎮められないかと試みたものの、どうしても消すことはできない。

このことを知ったら麗は間違いなく傷つくだろうし、俺だってこんな感情を抱いたままのうのうと付き合う気もない。

それならば、お互いの想いがこれ以上燃え上がらないうちに終わりにしたほうがマシだ。こうするしかないのだと、決意してとった行動だったのに。
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