俺様社長はカタブツ秘書を手懐けたい
橘って誰だ、と一瞬考えてしまったが、エイミーのことか。麗が俺とのことを話すのは仕方ないとしても、なぜ桐原に垂れ流すんだ。


「あの口軽アイドルめ……」


頭痛がするときのように額に手を当て、脱力してソファにどっかりと腰を下ろした。

こちらにやってきた桐原は、どうやら手土産らしい缶ビールやつまみが入った袋をテーブルの上にゴトリと置く。


「社長が有咲さんを想っていることは、ずっと前から気づいていましたよ。それこそ、プロバイドフーズを買収する前からね」


意外な言葉に、俺はピクリと反応して立ったままの彼を見上げる。


「『アリサは元気でやってるかな』とか、『アリサみたいなやつが欲しい』とか、事あるごとに口にしてたでしょう。だから、初めて有咲さんとお会いしたときに、“あぁ、この子が社長が求めていた子か”と、すぐにわかりました」


したり顔をするこいつが憎たらしいが、鋭い男だから感づかれても不思議ではない。

正確には、以前から想っていたというのは恋愛感情ではなく、ただただ彼女のその後を気にしていた程度であるが。

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