俺様社長はカタブツ秘書を手懐けたい
そういえば、この桐原生巳という男は、普段は忠実で紳士的な振る舞いをしていても、俺とふたりになると学生時代の調子に戻ることがあるのだった。
年下とはいえ一歳しか違わないため、あの頃からお互い気を遣わない仲ではあるが、最近はすっかり敬語キャラに慣れていたから豹変すると少々びっくりする。
それより、麗をもらうってなんだ。桐原もあいつに気があったのか?
「……お前、ああいう子タイプだっけ」
「しっかり者で献身的な彼女、いいなと思ってたよ。対照的なあなたにはもったいないくらい」
妖艶という言葉が似合う笑みを浮かべて嫌味を言われ、俺は口の端を引きつらせる。
「久々に聞いたな、お前のタメ口と毒舌」
「いつも不敵な社長様がずいぶん弱気だから、ちょっとかまいたくなってね」
意地の悪さをかいま見せて楽しんでいるこいつは、絶対サディストだ。俺は完全に受け流せるけど、こんな一面を社員の皆が知ったらひっくり返るだろうな。
桐原も缶ビールを手に取り、お互いにひと口喉に流し込んだ。起業した頃も狭い部屋でよくこうやって飲みながら経営会議をしたな、となんとなく思い返していると、彼がわざとらしい独り言をこぼす。
年下とはいえ一歳しか違わないため、あの頃からお互い気を遣わない仲ではあるが、最近はすっかり敬語キャラに慣れていたから豹変すると少々びっくりする。
それより、麗をもらうってなんだ。桐原もあいつに気があったのか?
「……お前、ああいう子タイプだっけ」
「しっかり者で献身的な彼女、いいなと思ってたよ。対照的なあなたにはもったいないくらい」
妖艶という言葉が似合う笑みを浮かべて嫌味を言われ、俺は口の端を引きつらせる。
「久々に聞いたな、お前のタメ口と毒舌」
「いつも不敵な社長様がずいぶん弱気だから、ちょっとかまいたくなってね」
意地の悪さをかいま見せて楽しんでいるこいつは、絶対サディストだ。俺は完全に受け流せるけど、こんな一面を社員の皆が知ったらひっくり返るだろうな。
桐原も缶ビールを手に取り、お互いにひと口喉に流し込んだ。起業した頃も狭い部屋でよくこうやって飲みながら経営会議をしたな、となんとなく思い返していると、彼がわざとらしい独り言をこぼす。