俺様社長はカタブツ秘書を手懐けたい
それを聞いて、私はすぐに息を呑み、目を見開いた。

もしかして、雪成さんが言っているのって五年前のこと？　『どうした？　死にそうな顔して』と言ってサンドイッチをくれた、初めて会ったときの──!?


「えぇっ……五年前のこと、覚えてたの!?　なんでもっと早くに教えてくれないんですか～！」


衝撃を受けた私は、さっきまでのいい雰囲気はどこへやら、胸倉を掴む勢いで詰め寄る。

しかし、雪成さんはおかしそうに笑って「ごめんごめん」と適当に謝り、私の頬に優しく手をあてがう。


「とりあえず、キスしていい？　話はそのあと」


可愛らしく小首を傾げ、甘い声色でそんなふうに言われたら、私の勢いはみるみる治まって懐柔させられてしまう。

もちろん拒むつもりなどないけれど、こちらもひとつお願いしておいてもいいだろうか。


「……これから、毎日キスしてほしいです。年を取っても、ずっと」


正直な願望を口にすれば、彼は愛おしそうに微笑み、大きな手で包み込むように私の後頭部を押さえる。


「そのつもりだから、ご心配なく」


快く了承すると共に、甘美な唇が寄せられた。
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