私の好きな警察官(ひと)!
「ったく、」
ぼんやり暗闇に目が慣れてきた頃、
ボソッとそれだけ呟けば、私から腕を離した蓮見さんは迷わず何かのボタンを押した。
そうか、彼は警察官なんだった。こういう時でも何一つ取り乱さずに冷静でいられるのは一種の職業病なんじゃないかな。
さっきまで触れていた蓮見さんの腕が、もう側にないだけで私はこんなにも心細さが募るってのに。
「ダメだ、ボタン押しても動かねぇ。非常ブザーボタン鳴らすしかねぇな」
独り言みたいに呟いた蓮見さんが、次の瞬間には非常ブザーボタンを押して、プルルル──と、コール音が鳴り響いた。
「はい、ショッピングモール 1階サービスカウンターです。どうされましたか?」
「映画館西側のエレベーターから3階へ向かう途中でエレベーターが停まって中に閉じ込められた」
「誠に申し訳ありません!先程、近くで落雷があり、ただいま館内全て停電となっております。他のエレベーターでも同様の事象が発生しており順次メンテナンス会社にて対応中です。
映画館西側のエレベーターですね。最後に何階のランプが点灯していたか分かりますか?」
冷静な蓮見さんの対応と聞こえてくる若い女の人の声に、耳を傾けているのが精一杯。気づけば足はガクガクと震え始めていて、暗闇の中、必死に蓮見さんの後ろ姿を見つめる。
狭い。暗い。怖い。