私の好きな警察官(ひと)!
「ホラーなんて嫌いです」
「あぁ」
「暗いところも、怖いです」
「あぁ」
「それがこんな狭いエレベーターの中なら尚更。このまま落ちちゃったらどうしようって思うと、不安でたまりません」
「……ん」
この際、顔を見られない今がチャンスとばかりに弱音を吐く。その度に蓮見さんは、小さいけれど……短いけれどしっかり返事をくれて、
その優しさにまた、泣きたくなる。
「23歳にもなって、夜道は街灯があっても少し怖いし。
お風呂は、顔を洗ってる間ずっと洗い流して顔を開けた時に鏡に何か映ったらどうしようとか思ってるし」
情けないくらい怖がりで、だけど恥ずかしいから誰にも言ったことないんですよ。
「随分ビビりだな」
「まだまだ……怖いものなら沢山ありますよ。
1人で布団に入りながらカーテンのちょっとした隙間を死ぬほど怖いと思うし、それに」
───っ、
もっと続けようと息継ぎをした私は、
「もう言いから、少し黙っとけよ」
クイッと持ち上げられた顎に驚きながら、見上げた蓮見さんの瞳と見つめあったまま動けなくなる。
こんな暗闇でも臆することないその瞳は、俺がいるんだから心配すんなって言ってる気がして。
「じゃあ、蓮見さんが黙らせて下さいよ」
震える唇で必死に紡いだ自分の言葉に、自分が一番驚きながら
「……めんどくせーな」
「っ、!」
震える私の唇に静かに重なった蓮見さんの唇の熱に、一瞬で呼吸の仕方を忘れた。