異世界で、なんちゃって王宮ナースになりました。
「もう、開放してくれ」
「ふざけるな……兄上は俺の話をちゃんと聞いていたのか? 兄上を慕って騎士になったダガロフの気持ちはどうなる! 罪から逃げるな!」
兄の肩を掴んで揺するシェイドは、いつになく声を荒げていた。その目には光るものがあり、ニドルフ王子を大切に思っているからこそ憤っているのだと感じた。
「っ、すまなかった……」
シェイドの気持ちが伝わったのか、ニドルフ王子は項垂れる。そこへ騎士の皆さんが駆け込んできた。
「シェイド王子……と、ニドルフ王子!」
アスナさんが驚きの声をあげる。その隣にいたローズさんがニドルフ王子を確保しようと縄を取り出したとき、
「俺がやる」と言ってダガロフさんが手を出した。
「騎士団長、いいんですか?」
覚悟を問うようにローズさんが尋ねる。
「ああ、俺もあの人を止めたいんだ」
縄を受け取ったダガロフさんがニドルフ王子のそばに膝をつく。そして抜け殻のように座り込んでいるかつての主を縄で縛ったあと、深々と頭を下げた。
「あなたを光ある場所へ連れ戻すことができず、申し訳ありませんでした。あなたは俺に人生をくれたというのに、なんの恩も返せなかった」
「……なにを言う。誰も俺を見ていなかったあの王宮で、お前だけは俺を必要としてくれていた。それが唯一の救いだったのだ」
力なく笑い、頭を下げるダガロフさんに二ドルフ王子も頭を下げる。
「不甲斐ない主ですまなかった。これからは善き王となるシェイドを支えていってくれ。それが俺からの最後の命令だ」
「承知、しました……っ」
嗚咽を飲み込むダガロフさんの前で、ニドルフ王子はアスナさんとローズさんに連れられて教会を出ていく。
その場を動けずにいるダガロフさんの肩にシェイドは手を乗せた。
「あの人はずっと孤独だと思っていたのだが、お前が兄上の心を守ってくれていたらしい。義弟として礼を言う」
「いいえ、感謝するのは俺のほうです。あの人をようやく憎しみから解放することができましたから」
ダガロフさんは清々しい表情をしている。ニドルフ王子がくれた最後の命令は彼から受けた恩とともに、ダガロフさんの心に生き続ける。彼にとって主君は永遠に騎士という生き方をくれたニドルフ王子と、間違いを正して新しい道を示してくれたシェイドのふたりなのだろうと思った。
「ふざけるな……兄上は俺の話をちゃんと聞いていたのか? 兄上を慕って騎士になったダガロフの気持ちはどうなる! 罪から逃げるな!」
兄の肩を掴んで揺するシェイドは、いつになく声を荒げていた。その目には光るものがあり、ニドルフ王子を大切に思っているからこそ憤っているのだと感じた。
「っ、すまなかった……」
シェイドの気持ちが伝わったのか、ニドルフ王子は項垂れる。そこへ騎士の皆さんが駆け込んできた。
「シェイド王子……と、ニドルフ王子!」
アスナさんが驚きの声をあげる。その隣にいたローズさんがニドルフ王子を確保しようと縄を取り出したとき、
「俺がやる」と言ってダガロフさんが手を出した。
「騎士団長、いいんですか?」
覚悟を問うようにローズさんが尋ねる。
「ああ、俺もあの人を止めたいんだ」
縄を受け取ったダガロフさんがニドルフ王子のそばに膝をつく。そして抜け殻のように座り込んでいるかつての主を縄で縛ったあと、深々と頭を下げた。
「あなたを光ある場所へ連れ戻すことができず、申し訳ありませんでした。あなたは俺に人生をくれたというのに、なんの恩も返せなかった」
「……なにを言う。誰も俺を見ていなかったあの王宮で、お前だけは俺を必要としてくれていた。それが唯一の救いだったのだ」
力なく笑い、頭を下げるダガロフさんに二ドルフ王子も頭を下げる。
「不甲斐ない主ですまなかった。これからは善き王となるシェイドを支えていってくれ。それが俺からの最後の命令だ」
「承知、しました……っ」
嗚咽を飲み込むダガロフさんの前で、ニドルフ王子はアスナさんとローズさんに連れられて教会を出ていく。
その場を動けずにいるダガロフさんの肩にシェイドは手を乗せた。
「あの人はずっと孤独だと思っていたのだが、お前が兄上の心を守ってくれていたらしい。義弟として礼を言う」
「いいえ、感謝するのは俺のほうです。あの人をようやく憎しみから解放することができましたから」
ダガロフさんは清々しい表情をしている。ニドルフ王子がくれた最後の命令は彼から受けた恩とともに、ダガロフさんの心に生き続ける。彼にとって主君は永遠に騎士という生き方をくれたニドルフ王子と、間違いを正して新しい道を示してくれたシェイドのふたりなのだろうと思った。