異世界で、なんちゃって王宮ナースになりました。
「姫、我が軍の治療師たちにミグナフタ国の王宮治療師の技術を伝授願いますなどと、無理を言いいました。なのにさっそく手配くださり、感謝します」
シェイド様が頭を下げると、アシュリー姫はポッと頬を赤らめる。それに姫のシェイド様への想いが本物だと気づいてしまい、胸がチクリと痛んだ。
どうして、傷ついたりなんか……。
シェイド様とアシュリー姫が一緒にいるところを見るだけで、心がささくれる自分の感情に戸惑う。
「若菜、顔色が悪いな。大丈夫か?」
唐突にシェイド様に声をかけられて、私は「あ……」と頼りない声を出してしまう。いけないと思ったときには遅く、シェイド様は心配そうに私を見ていた。
「すみません、なんでもありません。それで、そちらが治療師長ですね」
私は何事もなかったように矢継ぎ早に話すと、シルヴィ治療師長に向き直る。折り目正しくお辞儀をして、「水瀬若菜です」と自己紹介をした。
「これから王宮治療師について、色々教えてください」
「顔合わせ、これから『治療館』でやるから。さっさと着いてこい」
横暴な口ぶりで踵を返すシルヴィ治療師長は、なかなか癖の強そうな方だった。陰険なうちの看護師長よりマシかと、私はシェイド様と姫に一礼する。
「では、失礼します」
「ああ、頑張って」
シェイド様は私の頭に手を乗せる。
アシュリー姫が見ているのに気まずくはあったが、彼に触れられたことに胸が温かくなる。満たされた気持ちで彼に笑みを返し、その場を離れようとしたとき。
「ちょっと待ってくださる?」
アシュリー姫に呼び止められた。一歩を踏み出した状態で振り返ると、アシュリー姫は私の頭のてっぺんから足先までを品定めするように見る。
「失礼ですが、あなたのご出身は? 地位は? 誰の後ろ盾を受けて王子の隣に立っているのかしら」
嘲るように鼻を鳴らし、棘のある言い方で捲し立てられる。私は彼女の美貌からくる近寄りがたさに圧倒されて、言葉を失っていた。
困り果てていると、私の前にスッとシェイド様が立つ。
「若菜はなんの地位もない治療師かもしれないが、戦場で勇敢に我が軍の負傷兵の治療にあたってくれた恩人だ。そして、俺が信頼のおける数少ない存在。それだけで彼女がどれほど尊い人なのか、証明になるだろう」
シェイド様は私のために、庇ってくれたのだろう。きっぱりと私への信頼を示してくれた彼に胸が熱くなって、お礼を伝えたかったのだが言葉が出ない。
私とシェイド様を見比べたアシュリー姫は余裕の笑みを浮かべていた顔を上気させ、下唇を突き出すと憤慨する。
シェイド様が頭を下げると、アシュリー姫はポッと頬を赤らめる。それに姫のシェイド様への想いが本物だと気づいてしまい、胸がチクリと痛んだ。
どうして、傷ついたりなんか……。
シェイド様とアシュリー姫が一緒にいるところを見るだけで、心がささくれる自分の感情に戸惑う。
「若菜、顔色が悪いな。大丈夫か?」
唐突にシェイド様に声をかけられて、私は「あ……」と頼りない声を出してしまう。いけないと思ったときには遅く、シェイド様は心配そうに私を見ていた。
「すみません、なんでもありません。それで、そちらが治療師長ですね」
私は何事もなかったように矢継ぎ早に話すと、シルヴィ治療師長に向き直る。折り目正しくお辞儀をして、「水瀬若菜です」と自己紹介をした。
「これから王宮治療師について、色々教えてください」
「顔合わせ、これから『治療館』でやるから。さっさと着いてこい」
横暴な口ぶりで踵を返すシルヴィ治療師長は、なかなか癖の強そうな方だった。陰険なうちの看護師長よりマシかと、私はシェイド様と姫に一礼する。
「では、失礼します」
「ああ、頑張って」
シェイド様は私の頭に手を乗せる。
アシュリー姫が見ているのに気まずくはあったが、彼に触れられたことに胸が温かくなる。満たされた気持ちで彼に笑みを返し、その場を離れようとしたとき。
「ちょっと待ってくださる?」
アシュリー姫に呼び止められた。一歩を踏み出した状態で振り返ると、アシュリー姫は私の頭のてっぺんから足先までを品定めするように見る。
「失礼ですが、あなたのご出身は? 地位は? 誰の後ろ盾を受けて王子の隣に立っているのかしら」
嘲るように鼻を鳴らし、棘のある言い方で捲し立てられる。私は彼女の美貌からくる近寄りがたさに圧倒されて、言葉を失っていた。
困り果てていると、私の前にスッとシェイド様が立つ。
「若菜はなんの地位もない治療師かもしれないが、戦場で勇敢に我が軍の負傷兵の治療にあたってくれた恩人だ。そして、俺が信頼のおける数少ない存在。それだけで彼女がどれほど尊い人なのか、証明になるだろう」
シェイド様は私のために、庇ってくれたのだろう。きっぱりと私への信頼を示してくれた彼に胸が熱くなって、お礼を伝えたかったのだが言葉が出ない。
私とシェイド様を見比べたアシュリー姫は余裕の笑みを浮かべていた顔を上気させ、下唇を突き出すと憤慨する。