異世界で、なんちゃって王宮ナースになりました。
「感染の疑いがある方は、隣の治療室へ移動させてください。その際、鼻と口を患者も治療師も布で覆うこと。それから、感染の処置に当たる場合、同じ治療師が見ること。この部屋と隣の部屋を行き来することは禁じます」
事務的に指示を出して、私は皆を見渡す。月光十字軍の治療師たちは「はい!」っと返事をして動いてくれたのだが、ミグナフタ国の治療師は固まっていた。
「おいおい、なに勝手に仕切ってやがる」
シルヴィ治療師長は頭を掻きながら私の前にやってくると、威圧的な目で見下ろしてくる。だが、このような惨状を見せられて黙っているわけにはいかない。
「シルヴィ治療師長、治療は皆が一丸となって行うものです。このように技術の程度も治療の方向性もバラバラに動いていては事故が起きます」
ひとりだけが優秀なのでは意味がない。皆が優秀な治療師となれるように育てるのが、シルヴィ治療師長の役目だ。ろくな指導もしないで、基本が理解できていない人間に実践を積ませるのは危険なだけだ。
「俺のやり方に文句があるのか」
「文句ではなく意見です。シルヴィ治療師長」
強気に見返せば、フンッと馬鹿にしたように鼻で笑われる。
「嫁ぎ先がない残り物が行き着く先ってのは不憫なことだな。女の身で治療師になるなんて、そういうことだろ」
「つまり、女が治療師になることをシルヴィ治療師長は馬鹿にしてらっしゃるんですね」
私の質問には答えなかったが、彼の人を食ったような態度が肯定を意味していた。
私は怒りを沈めて冷静になるため、大きく深呼吸をする。水を打ったように静まり返る治療室で、私は負けるものかとシルヴィ治療師長を睨みつけた。
「誰かを助けたい、力になりたい、救いたいと思う心は男女関係なく抱くものです。そのように狭い視野でしか世界を見れないあなたを不憫に思います」
私を不憫だと言った彼に、同じ言葉を返してやった。
シルヴィ治療師長は私がメソメソと泣き出すと思っていたのだろう。口を半開きにして、目を丸くしている。その呆気にとられた顔を見たら胸の内がすっきりして、私は治療師たちに笑みを向けた。
「私は水瀬若菜といいます」
まずは自己紹介をして、これから共に患者や負傷兵と向き合っていく仲間に挨拶をする。こういう基本的なことから、直していく必要があると考えたからだ。
事務的に指示を出して、私は皆を見渡す。月光十字軍の治療師たちは「はい!」っと返事をして動いてくれたのだが、ミグナフタ国の治療師は固まっていた。
「おいおい、なに勝手に仕切ってやがる」
シルヴィ治療師長は頭を掻きながら私の前にやってくると、威圧的な目で見下ろしてくる。だが、このような惨状を見せられて黙っているわけにはいかない。
「シルヴィ治療師長、治療は皆が一丸となって行うものです。このように技術の程度も治療の方向性もバラバラに動いていては事故が起きます」
ひとりだけが優秀なのでは意味がない。皆が優秀な治療師となれるように育てるのが、シルヴィ治療師長の役目だ。ろくな指導もしないで、基本が理解できていない人間に実践を積ませるのは危険なだけだ。
「俺のやり方に文句があるのか」
「文句ではなく意見です。シルヴィ治療師長」
強気に見返せば、フンッと馬鹿にしたように鼻で笑われる。
「嫁ぎ先がない残り物が行き着く先ってのは不憫なことだな。女の身で治療師になるなんて、そういうことだろ」
「つまり、女が治療師になることをシルヴィ治療師長は馬鹿にしてらっしゃるんですね」
私の質問には答えなかったが、彼の人を食ったような態度が肯定を意味していた。
私は怒りを沈めて冷静になるため、大きく深呼吸をする。水を打ったように静まり返る治療室で、私は負けるものかとシルヴィ治療師長を睨みつけた。
「誰かを助けたい、力になりたい、救いたいと思う心は男女関係なく抱くものです。そのように狭い視野でしか世界を見れないあなたを不憫に思います」
私を不憫だと言った彼に、同じ言葉を返してやった。
シルヴィ治療師長は私がメソメソと泣き出すと思っていたのだろう。口を半開きにして、目を丸くしている。その呆気にとられた顔を見たら胸の内がすっきりして、私は治療師たちに笑みを向けた。
「私は水瀬若菜といいます」
まずは自己紹介をして、これから共に患者や負傷兵と向き合っていく仲間に挨拶をする。こういう基本的なことから、直していく必要があると考えたからだ。