異世界で、なんちゃって王宮ナースになりました。
「さっきまでピンピンしていたのに、急に高熱を出すだなんて……」
インフルエンザじゃあるまいし。
シルヴィ治療師長とマルクと手分けして、私は患者の治療にあたった。ダガロフさんはその鍛え上げられた体躯を生かして患者の搬送を手伝っている。
私はさきほど緊急で施療院に運ばれてきた患者を診ていた。ベットの空きはもうないので施療院の入口に布を敷いて寝かせ、傍らに膝をつき診察する。
この世界の体温計は水銀でできているのだけれど、なにせメモリが手書きでアバウトにつけられている。これは城の治療館でもやったことなのだが、私はこの施療院の全ての体温計で自分の熱を測った。自分の平熱が三十六度二分なのでそれを目安に体温計のメモリを書き直し、ほぼ正確に熱を計測できるようにしている。
両親が運んできた二十歳の青年は、ほぼ三十九度。両親の話によると全身の倦怠感を訴えて、すぐに寒気に襲われた彼は急に高熱に見舞われて苦しみだしたのだと言う。
「身体を見せてもらいますね」
息子のそばに控える両親が泣きながら何度も首を縦に振る。病気がうつってはいけないから別室に行くように促したのだが、聞き入れてはもらえなかった。子供が心配なのは理解できるので無理強いもできず……。私は口元を布で覆い、手袋をつけることを理由に付き添うのを許可した。
私は青年の上着をまくりあげて身体を確認する。すると鎖骨の下に円を描くような皮膚の赤み――発赤があるのに気づく。それはやや腫れを伴っていて、他にも脇の下にこぶし大の膨らみを発見した。
「なんでこんなところが腫れてるの?」
戸惑いながら再び鎖骨の発赤に視線を注ぐと、中央にひときわ赤い斑点があった。これはダニによる咬傷に似ている。
「手足の壊死、膿疱、脇の下で腫れているのはリンパ節よね」
右隣で横たわっている患者は咳とともに泡立った血痰を吐いており、左隣の患者は紫色の斑点が皮膚に表れている。
いきなり高熱が出て、しかも数日で死に至る感染力。これって、まさか……。
ひとつの考えが頭に浮かび、冷や汗が止まらなくなった。私の考えが正しかったら、戦う相手はあまりにも強敵すぎる。
インフルエンザじゃあるまいし。
シルヴィ治療師長とマルクと手分けして、私は患者の治療にあたった。ダガロフさんはその鍛え上げられた体躯を生かして患者の搬送を手伝っている。
私はさきほど緊急で施療院に運ばれてきた患者を診ていた。ベットの空きはもうないので施療院の入口に布を敷いて寝かせ、傍らに膝をつき診察する。
この世界の体温計は水銀でできているのだけれど、なにせメモリが手書きでアバウトにつけられている。これは城の治療館でもやったことなのだが、私はこの施療院の全ての体温計で自分の熱を測った。自分の平熱が三十六度二分なのでそれを目安に体温計のメモリを書き直し、ほぼ正確に熱を計測できるようにしている。
両親が運んできた二十歳の青年は、ほぼ三十九度。両親の話によると全身の倦怠感を訴えて、すぐに寒気に襲われた彼は急に高熱に見舞われて苦しみだしたのだと言う。
「身体を見せてもらいますね」
息子のそばに控える両親が泣きながら何度も首を縦に振る。病気がうつってはいけないから別室に行くように促したのだが、聞き入れてはもらえなかった。子供が心配なのは理解できるので無理強いもできず……。私は口元を布で覆い、手袋をつけることを理由に付き添うのを許可した。
私は青年の上着をまくりあげて身体を確認する。すると鎖骨の下に円を描くような皮膚の赤み――発赤があるのに気づく。それはやや腫れを伴っていて、他にも脇の下にこぶし大の膨らみを発見した。
「なんでこんなところが腫れてるの?」
戸惑いながら再び鎖骨の発赤に視線を注ぐと、中央にひときわ赤い斑点があった。これはダニによる咬傷に似ている。
「手足の壊死、膿疱、脇の下で腫れているのはリンパ節よね」
右隣で横たわっている患者は咳とともに泡立った血痰を吐いており、左隣の患者は紫色の斑点が皮膚に表れている。
いきなり高熱が出て、しかも数日で死に至る感染力。これって、まさか……。
ひとつの考えが頭に浮かび、冷や汗が止まらなくなった。私の考えが正しかったら、戦う相手はあまりにも強敵すぎる。