憧れの彼と、イイ仲になりたいんです!
考え込んでいるうちにノンアルコールビールのグラスが届き、坂巻さんはそれをぐいっと呷った。


「はぁー、旨い!」


息を吐き出しながら本当に美味しそうにしてる。
それを見ていると申し訳なさも少しは減って、きゅっと唇の先が上がった。


「諸住さんも何か飲めば?同じ物でも頼もうか」

「あ、いえ、私は…」


メニューを手にしようとした彼の指先に自分の掌が触れる。
ドキッとして直ぐに引っ込め、「何もいりません」と断った。


「私はお水でいいです。喉もそんなに乾いてないし」


本当は喉がカラカラだけど我慢する。
自分のドキドキを抑える為にお冷のグラスを傾け、ゴクンと一口だけ飲み込んだ。


「無理しなくてもいいのに」


坂巻さんはそれ以上何も言わずに自分のグラスを飲み干す。
それから自分の分のお冷のグラスに口を付け、「あのさ」と話を切り出した。


「俺、本当は今日、出先から直帰するつもりだったんだよ。でも、昼間に諸住さんと約束したことを思い出してね」

「え…」

「ほら、金曜日にまた話そうって言ったろ。だから」


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