憧れの彼と、イイ仲になりたいんです!
半分は坂巻さんが手伝ってくれたんだ。

私が作るよりも遥かに早くタイピングして、表もグラフ作成もさっさとこなして。

だから、あんな九時前に全ての資料が完成した__。


(それなのに、私一人が褒められるなんて変だ)


そう思うと居心地の悪さが襲ってくる。
手柄を立てて呑気に喜ぶのはおかしい気がする。


(坂巻さんにお礼を言わないと。でないと何だかスッキリしない)


昨日は結局お礼の一つも言えなかった。
だから、今こそ。


(でも…)


そう思ってもいつ……と思い始める。
交換した連絡先にお礼の言葉を送り付けたところで、私が本当に感謝しているのが、彼に伝わるのかどうか。


(それに、お礼ってちゃんと顔を見て言うもんじゃない?)


そう思うとどこか気が沈む。
そんなチャンスがいつあるよ!?と思えてきて、ションボリとしたままデータ室の中へ入った__。


< 62 / 206 >

この作品をシェア

pagetop