【完】武藤くんって甘くない
「あの、もう一回…」



「行くぞ」



腕に掴まるあたしの手を振り切り、武藤くんは階段をおりていった。



その後ろ姿からもわかる、武藤くん…耳まで真っ赤だよ!



照れてるんだ!!



急いで追いかけて、前にまわりこむ。



「シャイなの?意地悪なの?どっちなの」



「知るかよ…」



あれっ、もう赤くない。



切り替えるの早過ぎない!?



「キス…さっき、あたしにキスしたよね!!」



「声がでかい」



ああっ、ごめんなさい!



だったら小声で。



「キスしたよね?」



「そうじゃねぇ」



わっ、苛立たれてる?



「武藤くんにキスしてもらえるなんて…思わなくて。あたし…すっごく幸せ。彼女になれなんだなって…本当に嬉しいの」



これまでの道のりを思うと、色んなことがあった。


本当に、本当に嬉しいの…。




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