腹黒上司が実は激甘だった件について。
漫喫って寝れないんだな。
よく、飲み会で終電逃したから漫喫に泊まった、とか言う話を聞いていたから、そういうもんなんだと思って私もやってみたけど。
体が痛いわ。
シャワーもあるし食べ物もあるし便利は便利だけど。
やっぱりビジネスホテルにすればよかった。

後悔をしつつ、会社に行っていつも通り仕事をこなす。
無意識に盛大な溜め息が出た。
ちょうど通りかかった坪内さんが、私を見て足を止める。

「どうした?」
「どうもしませんよ?」

「隈ができてるぞ。」
「うそっ。」

化粧が甘かったかな。
後で直そう。
目の下を隠すように両手で頬を押さえる。

「無理すんなよ。」

坪内さんは肩を控え目にポンと叩いて、去っていった。
そういう細やかな優しさは罪だ。
胸がぎゅっとなってしまうからやめてよ。

それにしても、今日はどこに泊まろう?
地元じゃないからビジネスホテルがよくわからない。
いや、地元でもビジネスホテルなんて泊まったことがないから、どんなものかもわからない。
どうしよう。
煙臭くても家に帰ろうか?
それとも、もう一泊漫喫に泊まろうか?
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