腹黒上司が実は激甘だった件について。
「日菜子は王子様が好き?」

ぐっとエビが喉に詰まりそうになった。慌てて水で流し込む。

「…嫌いじゃないよ」
「一緒にいてどう思うの?」
「わかんないけど、嫌じゃない。だけど甘えるのが怖い。今日だって、あんまり遅くなるなよって言うんだよ。私が坪内さんちに帰るの前提じゃん。私はビジネスホテルに泊まる気なのにさ」

愚痴にも似た私の言葉に、奈穂子は真剣な眼差しで反論する。

「好きな人に甘えることの何が悪いの?好きな人だから甘えて、その分好きな人も甘えさせてあげる。持ちつ持たれつの関係、どうでもいい人となんて出来ないでしょ」
「坪内さんは私に甘えてこないよ。私を甘やかすだけだもん」
「それは日菜子が王子様にちゃんと返事してないから。遠慮してんのよ。さすが王子様よね、ちゃんとわきまえてる」

私の反論に、奈穂子は更に反論する。
しかも完全に坪内さんの味方だ。

「それに日菜子、わかってる?今の言葉、世間ではのろけっていうのよ」

奈穂子の言葉に、ぐうの音も出なかった。
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