古都奈良の和カフェあじさい堂花暦
翌日。
昼過ぎに夏らしい水色の夏着物を着た沙代里ちゃんと連れ立って私は祖母の家へ向かった。
母に抱かれた奈江ちゃんが「いってらっしゃーい」と可愛い手を振って見送ってくれる。
「悠花ちゃん、素敵やわ。よう似合てる」
「そ、そうかな……」
私が着ているのは淡いグリーンの着物だった。若苗色というらしい。
絽(ろ)といううっすらと透け感のある涼しげな生地の訪問着で、お茶のお稽古の席には少し改まり過ぎているけれど、久しぶりに会う祖母への挨拶の場ということも考えて母が選んだものだった。
セミロングの髪は、母が貸してくれた緑のとんぼ玉のついた髪留めでまとめてある。
自分ではとても似合っているとは思えなかった。
馴れない草履でのぎこちない歩き方といい、傍からみたらレンタル着物を着て散策中の観光客にしか見えないに違いない。
「そのうち慣れるって。私だってはじめはそうやったもん」
そう言ってにっこり笑う沙代里ちゃんは、生まれついての大和撫子といった風情で着物姿がしっくりと絵になっている。
母の前よりも少し打ち解けて、こっちの柔らかな響きの言葉で話す沙代里ちゃんは同性からみてもとても可愛らしくてなんとなく色っぽかった。
昼過ぎに夏らしい水色の夏着物を着た沙代里ちゃんと連れ立って私は祖母の家へ向かった。
母に抱かれた奈江ちゃんが「いってらっしゃーい」と可愛い手を振って見送ってくれる。
「悠花ちゃん、素敵やわ。よう似合てる」
「そ、そうかな……」
私が着ているのは淡いグリーンの着物だった。若苗色というらしい。
絽(ろ)といううっすらと透け感のある涼しげな生地の訪問着で、お茶のお稽古の席には少し改まり過ぎているけれど、久しぶりに会う祖母への挨拶の場ということも考えて母が選んだものだった。
セミロングの髪は、母が貸してくれた緑のとんぼ玉のついた髪留めでまとめてある。
自分ではとても似合っているとは思えなかった。
馴れない草履でのぎこちない歩き方といい、傍からみたらレンタル着物を着て散策中の観光客にしか見えないに違いない。
「そのうち慣れるって。私だってはじめはそうやったもん」
そう言ってにっこり笑う沙代里ちゃんは、生まれついての大和撫子といった風情で着物姿がしっくりと絵になっている。
母の前よりも少し打ち解けて、こっちの柔らかな響きの言葉で話す沙代里ちゃんは同性からみてもとても可愛らしくてなんとなく色っぽかった。