古都奈良の和カフェあじさい堂花暦
「えー、でも相手のコ、中学生くらいじゃない? ロリコン?」
「妹じゃない?」
(どっちでもないですって……)

「あのー、すみません」
一人がこちらに向かって手をあげた。

「お決まりでしょうか?」にこやかにテーブルの横に立つと二人は、
「あ! 白玉あんみつとグリーンティのセットを!」
と声を揃えた。
「あの、『本日のお茶セット』まだございますけど……紅葉の練り切りと葛餅のセット……少しお得になりますが」
「いいんです! あちらと同じものを下さいっ」
「二つで!」
「……はい。かしこまりました」

 軽い疲労感を覚えつつ、百貨店仕込みの完璧な笑顔でお辞儀をして、私は厨房にオーダーを通した。
「白玉あんみつとグリーンティ、二つずつ」
「了解!」

 威勢のいい声にまた女性たちが、きゃあっと小さな嬌声をあげて顔を見合わせている。

  ふうん。あのキャラに日常的に接しているとつい忘れがちになるけど、やっぱり奏輔さんって初対面の女性にときめかれちゃうレベルのルックスなんだなあ。

 個人的には、その突き抜けてるルックスのパラメータを少し削ってでも性格の方にまわせるものなら、まわした方がいいと思うけど。

 その後、次々とお客さんが入ってきて仕事に追われているうちに、いつの間にか佐保ちゃんは帰ってしまっていた。
< 63 / 68 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop