はちみつドロップス

「まぁ、それから俺もキッパリ女の子切って生まれ変わったっていう話……って、趣旨変わってるか」



ハハハっと笑って誤魔化す涼希につられて、涼姫もクスクスと笑みを漏らしている。



「よくわかったよ。鳥井くんのこと」


「それじゃダメじゃん」


「ふふふっ。ちゃんとわかったよ、高原くんのことも」



口元に指先を当て、楽しそうに笑う涼姫にジワッと胸が高鳴っていく。

あぁ、やっぱり彼女には傷付いて欲しくない。


涼姫の笑顔を見つめながら、涼希は改めて実感した。



「じゃあ、とっておき教える。雄楽が毎日食ってる弁当は兄貴の手作り」


「えっ! 高原先輩が?」



ちなみに付け加えれば、妹と彼女と母親も分もである。



見た目クールで通っている皇楽の知られざる秘密、主婦であること。



それを聞いた涼姫が驚いたように声をあげ、楽しそうに笑うから涼希も嬉しくなってしまう。




……高原先輩、ごめん。



心の中で小さく詫びながら、その日のお昼休みは過ぎていった。
< 187 / 228 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop