はちみつドロップス
「まぁ、それから俺もキッパリ女の子切って生まれ変わったっていう話……って、趣旨変わってるか」
ハハハっと笑って誤魔化す涼希につられて、涼姫もクスクスと笑みを漏らしている。
「よくわかったよ。鳥井くんのこと」
「それじゃダメじゃん」
「ふふふっ。ちゃんとわかったよ、高原くんのことも」
口元に指先を当て、楽しそうに笑う涼姫にジワッと胸が高鳴っていく。
あぁ、やっぱり彼女には傷付いて欲しくない。
涼姫の笑顔を見つめながら、涼希は改めて実感した。
「じゃあ、とっておき教える。雄楽が毎日食ってる弁当は兄貴の手作り」
「えっ! 高原先輩が?」
ちなみに付け加えれば、妹と彼女と母親も分もである。
見た目クールで通っている皇楽の知られざる秘密、主婦であること。
それを聞いた涼姫が驚いたように声をあげ、楽しそうに笑うから涼希も嬉しくなってしまう。
……高原先輩、ごめん。
心の中で小さく詫びながら、その日のお昼休みは過ぎていった。