はちみつドロップス
「いいよ。ちょっと勉強して帰ろ」
「えっ?」
涼希のノートを片手に、こう言って今度は涼姫が涼希の手を取った。
ごく自然に繋がれた手。
涼姫の手は、今まで幾度と無く繋いできた女の子の手より温かい気がした。
「行こっ」
ギュッと手を引かれ、笑顔で促されたら心臓が変なリズムを刻み始めた。
シャンと伸びた背中。
真っ直ぐで綺麗な髪の毛。
手を伸ばせばきっと、簡単に触れる。
今までそうだったように……。
それが出来ないのは、今までと違うからだろうか。
雄楽が言っていた、ちゃんと好きになった相手として、自分は涼姫を見ているのか……。
「…………」
それは無い。
涼姫にとって自分は、雄楽の友達でしか無いから……。