はちみつドロップス
「チーズケーキを作ろうと思います」
適当な材料を用意した修護が、こう言って袋の中身を取り出していく。
「椎菜好きなんだよね、チーズケーキ」
「よく知ってますね」
それを手伝いながらポツリと呟いた天が、チラリと皇楽を窺った。
椎菜のチーズケーキといえば、自分たちの中で一悶着起きた代物の一つ。
気まずげに目を伏せた皇楽の肩に腕を回し、
「大好きな高原先輩と作りたい程、好きなんだよね?」
「触んなっ」
クククっと意地悪く笑う慶斗を払いのけ、皇楽は小さく舌打ちをかました。
「城戸くんも料理出来る人なんだね」
ますます天のタイプに近いね?
追い討ちをかける絵那の一言に、皇楽の表情はさっきから引きつりっぱなしだ。
「母親が得意だったので、小さい時から一緒に作ってたんです」
レンジで緩くしたクリームチーズの塊を混ぜながら、修護は声を和らげた。
「椎菜の家とは庭の垣根を隔てた隣同士で、家から出られない時間になったらいつもそこで遊んでました」