暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】
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……………………のだが。
「………で、私は何故ここへ呼ばれたのでしょうか?」
陛下から呼ばれたファン宰相様は何事かと息を切らして執務室へ来た訳だが、
大した話でもない事を知り、軽くため息をついた。
「つまりお父様の体調が宜しくない為、休暇を頂きたいとの事でございますね?」
「はい。その通りでございます」
初めからそう言ってはいるのだが、勘違いした陛下により間に宰相様を挟むという、何だか異様な光景になってしまった。
「それで陛下はいかがなさるおつもりでございますか?」
机の上に頬付けをつき、ひと通りの話の流れを見ていた陛下へ宰相様は話を振った。
「……使用人であった際も休暇許可は与えていた。なので今回も前と変わりなく許可は与えるつもりだ」
「ありがとうございます…!」
許可が出せない等と言われたらどうしようかと思っていた私は、そんな陛下の言葉にホッ…と胸を撫で下ろした。
これで気兼ねなく実家へ帰ることができる。