暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】
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「今日はこれぐらいでお勉強を終了致しましょう」
太陽が傾き、空の色がオレンジ色に染まり始めた頃、私はスフィア様にそう告げた。
あれから数時間も勉強されて、さぞ疲れた事だろう。
「ご飯になさいますか?それとも、お先にお風呂へ行かれますか?」
なぜかこの宮にはご飯の知らせが来ないどころか、そのご飯ですら送られて来ない。
以前は炊事係がこの宮の付近にそっと朝昼夜と三食ご飯を置いてくれていたのだが……。
気になり炊事場まで行ってみても、『ちゃんと届けています』の一点張りで、実際には届いていないし。
公になっても困るので今は内緒で私がスフィア様の食事を作っている。
「今日は先にお風呂へ行くわ」
「かしこまりました。では、ご準備致します」
この時間だと他の側妻様とかぶらない事から、先にお風呂へ入られるのだろう。
お風呂場は側妻共同で、この宮から少し歩いた先の大広間付近になる。
支度を済ませた私はスフィア様のお供として、お風呂場の前までついて行く。
「では、私は扉の前でお待ち致します。どうぞごゆっくりお過ごし下さいませ」
中へ入るのを見届けると上がるまでひたすら廊下で待つ。
いつもならその待ち時間長く感じるが、今回は晩御飯を何にしようか考えていたのであっと言う間だった。
「御髪をお拭き致します」
外に出られたスフィア様の髪を優しくタオルで包みこみ、水分を抜く。
ある程度拭き取るとその場を後にし、残りは部屋で髪を乾かす。