暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】


スフィア様の柔らかく長いピンク色の髪からシャンプーのいい匂いが漂ってきた。

「スフィア様は綺麗な髪をされておりますね」

「え……?」

急に変な事を発したからか、スフィア様は驚いたような声を上げた。

別にただ単純に思った事を発したつもりだったが、もしや気持ち悪く捉えてしまったのでは!?

「あ…えっと、違うんです!!」

引かれないように急いで訂正の言葉を入れる。

私が綺麗と感じたのは………

「スフィア様のその髪がまるでサクラのようで、綺麗と思ったのです」

この国に生息しているかは分からないが、アンディード帝国には存在するサクラという花にスフィア様の髪色が良く似ていた。

大きな木に咲く小さな花の並木道はそれはそれは綺麗だ。

「スフィア様はサクラをご覧になった事がありますか?」

「……ない!どんな花なの?」

「スフィア様のようなお花でございます。小さくて可愛いピンク色の花………もしかすると書庫にそのお花の事が書かれた本があるかもしれませんので、今度見つけたらお見せ致しましょう」

あの書庫なら恐らく色んな国にまつわる事柄や、生息する植物まで何でも置いてある気がする。

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