暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】
「な、何をするのですか!!」
「貴女様をフィグリネ様暗殺未遂事件関与の罪で捕らえます」
「私を誰だと思っているのですか!!」
いきなり私の前に現れたのは一人の侍女と兵士たち。
その侍女はフィグリネ様の侍女だった。
「誰…とは笑わせますね。罪人に決まっています!!さぁ、連れて行きなさい」
いきなり周りを取り囲み両腕をがっしりと掴む。
「やめなさい!!私は王子様の妻ですよ!!」
いくらあがいても兵士はピクリともしない。
真正面に立つその侍女はとても冷めた目をしており、恐らく……フィグリネ様から何か言われたのではないだろうかと考えてしまう。
でないと…私を捕らえに来るわけがない。
「証拠が不十分であるのに私を捕らえるなど品格が疑われてしまいますよ!無実で捕らえる意味…お分かりでしょう!!」
「問題ありません。処罰してしまえばそれで終わりなのです。皆も終わった事だと忘れてしまいます。“ただの侍女”の為に貴女様も大変でございますね」
そう言ってフッと笑う。
つまり証拠がないという事すらもみ消すつもりのよう。
これでは私もヤバいわ……。
「やめなさい!!!」
「さぁ側妻様、行きましょう」
抗う術などもはやなく、フィグリネ様の思惑なのか私は兵士達に牢屋へ連れていかれた。
そしてこの事はハレム中に知れ渡る事となったが、私はそれよりもなぜ内緒にしていたのにその動きがバレてしまっていたのかがただ気になった。