暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】
「側近部に行けば……今のようにお妃様のお側で何かする事が出来なくなります。1人の使用人ではなく、宮殿の側近として陛下のお側に仕えさせて頂く立場となりますので……………」
そこまで言われて先程の言葉の意味を私は初めて理解した。
確かに側近部とは公平な立場でなくてはいけない。
誰か1人だけのメイドでなく、宮殿の………陛下のお側で仕えさせて頂く事となるのだから。
「…………それはとても寂しいけれど、同時にリリアンが上に上がるとても喜ばしい事でもあるわ。以前のように私の近くでその元気な姿を見る事が出来ないのは残念だけど……そんな事は気にせずに行ったらいいわ」
「…………お妃様」
ここで暗くなってしまえばリリアンは側近部へ行くのを拒んでしまうかもしれない。そうで無くとも、いい気分で行く事はないだろう。
そう考えた私は笑顔でリリアンにそう言うと、
「…………側近部に配属されても私はお妃様の為なら何でも致します。心から信頼し、どこに居ようがお妃様を愛しております!」
少しだけ涙ぐみながら……私に深々と敬意を示すお辞儀をした。