暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】
「リリアン……」
私が元メイドだと知ってもなお、この使用人達は今までと変わらずに尽くしてくれている。
それが私にとってどんなに嬉しかったことか…………。
つられて泣いてしまいそうなのをグッと我慢すると、私はリリアンの肩にソッと手を添え、
「……顔をあげて。私もリリアンには大変お世話になったわ。たとえ違う部署に行こうがリリアンは私に仕えてくれていた大事なメイドであった事には変わり無い」
そう言うとゆっくりとリリアンはお辞儀していた体を戻し、前にいた私に視線を合わせた。
「リリアン。………………他の部署に行っても頑張ってね」
側近部はここ以上に厳しい場所。
皆正当な試験を受け難関をかいくぐり、そこについている。
リリアンがたとえ陛下から命じられた実力のあるメイドだったとしても、元私付きのメイドであったリリアンは、妃の推薦でその座についた等と心無い言葉を言われる日もあるだろう。
それにより傷つく事もあるだろうが、私はリリアンならやっていけると信じている。
「大丈夫。リリアンならどのような場所でも絶対に上手くいく!」
悪に染まらぬ優しき心と、死を恐れぬその度胸。そして純粋で真っ直ぐなその瞳。
陛下や周りはそれを見込んでリリアンを側近部へ移動させたのだと私は思う。