暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】
「………陛下?」
「そなたは分かっていない」
「な、何がで………………ございますか?」
急に発せられたそんな言葉に分からず首を傾げる。
「余が………どれほどそなたの事を愛しているか。どれほど心配したか…」
そう言葉を発せられる陛下のその表情はとても憂いに満ちていた。
「………へ、陛下」
「気味が悪いだと?余がいつそなたにそのような事を言ったのだ。以前一度伝えたが、そなたの能力はとても貴重で、そんなそなたは特別な存在だ。それとは反対に傷付いてきた事もあるだろうが、余はその力を変だと思った事はないし、気味が悪いなどと蔑んだ事もない。逆にそのような者がいようなら………反逆の罪で牢屋にぶち込み拷問してやる」
そう言ってとても黒い笑みを浮かべた。
牢屋にぶち込む……だとか拷問だとか、その言葉を陛下が仰ると全然シャレにならない。
むしろ起こりそうで怖い。
「……だから、そなたは何も気にするな。余がそなたに仇なす者から守ってやる。それに、余はそなたが居れば…他はいらぬ」