暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】




「フィグリネ様、参りましょう」

「…………………」

石で作られた床の冷たさが座り込んだ私(わたくし)の体温を奪っていく。

アルヴァン様がこの場から去られた後、私(わたくし)はただ呆然と地面を見つめていた。

「フィグリネ様」

外の声が耳に入ってこない。

ただ、なぜスフィアがこのような事件を起こした私(わたくし)に機会を与えようなどとしたのか理解が出来ず、裏があるのか……これは嘘なのかと疑ってしまう。


「フィグリネ様!!動かれないのであれば無理やりにでも連れて行きますが、宜しいでしょうか?」

___パンッ…!

「一人で立てるがゆえそのような気遣いは結構ですわ」

急に伸びてきた手を振り払うと、私(わたくし)はスッとその場に立ち上がる。

「フィグリネ様の自室にありました私物から、こちらの方で簡単にまとめておきました。国境近くまでは馬車でお送りいたしますので、これをお持ちになって直ちにご用意した馬車の方へ移動をお願い致します」

兵士から雑に渡されたのは私物の半分にも満たない量が詰められているであろうバッグで、中を確認すると宝石類は全て外され生活最低限の衣類などが入れられていた。

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