暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】
「……………………随分と準備がよろしいのね」
「アルヴァン王子様のご指示ですので」
早く出て行ってほしいのか、それともこれが最後の気遣いなのか私(わたくし)には分かりはしなかったが、趣味でない柄のバッグから伸びるヒモを肩にかけると、鎖などなく自由になった足で前へ歩き出す。
それに伴って周りの兵士達もペースを合わせながら私(わたくし)の後ろをついてくる。
罪人となり恐らく死刑だと周りから思われているであろう私(わたくし)が平然と廊下を歩いているものだから、すれ違う侍女達は皆変な顔をし、コソコソ…と話を始めるが、気にもしない様子で私(わたくし)は歩く。
人に弱いところは見せれない。例え罪人の身でも仮に死刑囚であろうとも私(わたくし)のプライドがそれを許さないから。
……………結局はそのプライドがこのような事態を招いたのかもしれないが。
「お乗り下さい」
「えぇ」
気がつけば外へ到着し、開かれたドアから馬車へ乗り込むと兵士同伴で目的の国境門へと向かう。
ここから国境門まではそこまで遠くなく、約1時間半で着いた。
「この門の下を通った時点で貴女様は全ての称号、そして地位を剥奪し、金輪際この国及び貴女様の母国への立入りを禁止と致します」
「…………この門を通った時点…で?」
「そうでございますが、何か?」
「と言うことは、それまでは剥奪されていなかったと言うことよね?罪人にも関わらず、アルヴァン様の第一妻として居させて下さったのですか…?」
この兵士の言い方はまるで『罪人ですが貴女はまだこの段階では第一妻』と言うような言い方だ。
普通なら事件を起こし牢屋に入れられた時点で剥奪されていても可笑しくはない。
「………………馬車もその間の護衛も、それら全てを命じたのはアルヴァン王子様でございます。なのでアルヴァン王子様の真意までは分かりかねます」
確かにそれもそうか。
この兵士はただ命じられただけの者だ。
アルヴァン様でなければ知る由もない。