暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】



「やはり………………ここで何かあったのか」


表情が次第に険しくなっていくなか、その文字を読んでみた。


『アニーナです。どうやらあの窓付近が怪しく見えます。今から近づいてみようと思いますが、どうなるのか分かりません。取りあえずこの手紙をクレハが読んでいる事を願います。それと、仮にそうだとしてお店側とそのまま衝突だけはしないでください。クレハならもっと上手いやり方が出来ると信じています』



……………アニーナは怪しいと思ってお手洗い場に向かったのだと、この手紙にてクレハは知った。



それと同時にその変化さえ分からなかった自分に腹が立った。


もっと周りに目を向けていれば他の犠牲者を出さずに黒幕を突き止めれたのかもしれないのに。




……………………だがしかし、いくらここで悔やんでも事態は良くならない。



今出来る事はアニーナの探索と黒幕を突き止める事で、この手紙のように周りにバレず捕まえなければならないようだ。



「…………………難しい事を仰る妃だ」


そう呟くと同時に何故かやる気が出た。


そして不思議と笑ってしまう。


何故なのかクレハにもよく分からなかったが、もしかするとクレハを護衛に任命する際陛下が発したあの言葉にあるのかもしれないとそうクレハは思った。


「我が妃は好奇心旺盛な為、旅先では苦労するであろう…………でしたね。本当ですよ。守れないで首を切られるのは私だと言うのに仕方ない方です(笑)」


そうならないように今から動くしかないのだが。


………………いや危険にさらしてしまったという事実がある時点で罰は必ずあるだろう。


「……………後が恐ろしいな。しかし、この窓付近が怪しいとは一体何だろうか。見た感じ変なところはないが」


じっくりと床と壁、そして窓を観察する。


床に耳を当て拳で軽く叩いてみると、まるで下に空洞があるかのように音が反射して聞こえた。


と言うことは…………下に道はある。がしかし、床を開けれるようなものはなく無理して開けてしまえばお店の人にバレかねない。


それと壁を手で軽く謎って見てみると、1mm程度の変な突起物があることが分かった。


これはもしかすると何かのスイッチなのかもしれない。


「だとすると……………これに触れた者のみが下へ落ちる仕掛けの可能性が高いな」


触らない方が良さそうだとクレハはそれから距離を置くと、次へ動き出した。


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