暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】



「色んな女がいるが………………お客様はどの女が好みかな?」


自慢気に後へ向かってそう男は喋ると、中を見ようとその人たちは男の前へ歩き出した。


「へぇ〜………でもこの国って人身売買いけなかったんやないの?」


癖のある喋り方をするその人は、身を隠すように深くフードをかぶり


恐らく身長と声的に男の方だと悟った。


その人と一緒に入ってきた人も似たような姿をしており、恐らく男の人だろう…………。


「確かにこの国では法で取り締まられてますが、バレなければ大丈夫です。元に沢山の貴族がここへ足を踏み入れ商品を買われていますがバレておりません」


人身売買がこの国ではいけないと知っていながら………商売をするだなんて。


しかも今までに問題になっていたであろうが、商売先が貴族なので上手くもみ消してきたのだろう。


「へ〜。なら俺達も大丈夫そうやね。あのお店で情報得たから来てみたが面白いとこにきたわ(笑)」

「他の国では堂々と行うのでこうやって地下で販売するのもまた珍しいですね」


……………地下。


どうやら話的にここは地下のようだ。まぁ、上から落ちてきたところからするとそうだろうけども。


「念の為お伺いするが…………役人ではないのですよね?」

「あぁ。偶然この国にやって来た旅人さ。良い者がいれば旅の土産として持って帰るのも良いのだが………」


「つい先月も買われたではありませんか……っ!見るだけではなかったのですか!?」


「気持ちが変わったんや。少しみせてもらうでー?」


「どうぞ、ごゆっくり!!」


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