暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】
「この者を決して離すな」
首元に剣を当てつつ近くの兵士に手渡すと、そのドアへと向かう。
中には消えたと言われた沢山の女達がそこへ集められていた。
皆クレハを見ると敵だと思い、恐怖に満ちた表情や恨みのこもった視線を向ける。
「……………………………」
必死に端から端まで見るが何故かお妃様は見当たらない。
「すまないがここに金色の髪をした女性は居なかっただろうか!!」
そこに居る皆にそう問いかけると金色の髪をした女が数名前へ出てきたが、その中には残念ながらお妃様は見当たらない。
「可笑しい………………下で何か行われてたという証拠は既に手に入れた。そしてそれにいち早く気づいたお妃様はここへ落ちたと私な読んだのだが…………いないとは」
その現状に困惑しつつ、一度冷静になろうと顎に手を当て考える。
もし…………だ。
ここにいる女達より前に売られてしまってたとすると………………当然ながらここにはいないだろう。
つまり。
「あの…………」
「……何だ?」
恐る恐る声をかけてきたのは服装の汚れた女であった。
確信的ではないが、何か言いたげな表情をしている。
「気にせず申してみよ」
優しい口調でそう話しかけると、その女はゆっくりと話し始めた。