暴君陛下の愛したメイドⅡ【完】
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「……証拠は全て整った。黒幕はこの町を取り仕切るクソ官僚で陛下の目が届かぬところで良くもまぁこんな事をしてくれたと言うべきか」
クレハは束になった紙をペラペラ…とめくる。
その前には列になった兵士達がピシリと待機をしていた。
「この国の兵士は皆あの官僚の支配下の為使えなかったが、まさか陛下直々によこしていたとは思いもしなかった」
資料を揃えた後この町の兵士に声をかけたが誰一人動こうとしなかった。
証拠を見せても動かないところを見ると、余程上からの圧力はすごいのだろう。
とにかく兵士が揃って良かった。
「結構な時間ロスだな…………」
あれから4時間も経過している。
「気をつけ!!!」
皆の前で大きな声を出すと兵士達は足を揃えて直立不動した。
「今から下へ乗り込む!!!!皆の者後へついて来い!!!」
「「「「「は!!!!!」」」」」
兵士達は大きな声を出すと、クレハの後に続き茂みに隠れていた唯一の入り口へと入っていく。
これは厨房の裏側にある茂みで発見した道だ。
暗く細い階段を素早く下りる。
どうやら敵が感づいたのか下は電気がついており、誰かがいた後のようだ。
…………………いや、いる!
「そこまでだ!!!!無駄な抵抗はせず手を上げろ」
下へつくと高級そうなスーツに見を包んだ男がドアの前に立っていた。
「な、なぜ兵士がここへ……………それよりもなぜ兵士が従うのだ!!!?」
思いもしなかった出来事にかなり焦っているようだ。
「…………1人だけか」
「私は知らない!!!うわぁぁぁあ!!!!」
どこへ繋がるのかも分からない地下道から逃げようとするその男へ、
逃すまいと鋭い剣を体に当てぬよう気をつけながら、
首へ突き付ける。
「………………ヒッ!!」
「動かぬ方が身のためだ」
取りあえずお妃様を目で探す。
この辺に誰も見当たらないと言うことはあのドアが1番怪しい。