たとえ、この恋が罪だとしても。
車が走りだして20分、山崎先生が車を停めたのは2階建てアパートの駐車場。
「山崎先生、こんなとこ住んでるの?」
少し古びたアパートを見上げ言った。
「こんなとこ言うな、失礼だな」
山崎先生は車の鍵をかけると、アパートに向かって歩き出した。
その後を、小走りで追いかける。
「静かに歩けよ」
「はーい」
カンカンカンと足音が鳴ってしまう階段を上り、一番奥の部屋の前まで行った。
部屋の前まで来ると、山崎先生はポケットから鍵を出し、鍵穴に差し込んだ。
ガチャっという音で鍵が開き、山崎先生は部屋のドアを開けた。
「先入ってろ。俺、車に忘れ物したから」
そう言うと、山崎先生は戻って行ってしまった。
忘れ物って…さっきまではそんなこと言ってなかったのに。
階段を下りて行く山崎先生の後ろ姿を見ていたが、¨まぁ、いいか¨と思い部屋の中へと入った。