たとえ、この恋が罪だとしても。
「はぁー…間に合った」
「疲れた…」
発車ギリギリの電車に駆け込み、学校近くの駅から再び走り、何とか入学式には間に合った。
正門の前には、新しい制服に身を包んだ新入生達がたくさんいた。
中学の入学式とは違って、ほとんど知らない子達ばかり。
同じ中学出身なのは光太郎と、後は数人のみ。
お兄ちゃんを追いかけて受験をした女の子たちもいたみたいだけど、そこそこ偏差値の高いこの高校に受かったのは数人だけ。
光太郎も私も、何十時間も勉強してギリギリで受かったぐらい。
「ねぇ、白石先輩って超カッコイイ人がいるって知ってる?」
ドキ。
光太郎と正門前で受付を探していると、聞こえてきた話題。
「知ってる!!地元の先輩から聞いて、ここの学校受験したんだもん!!」
「私も知ってる!!確か陸上で県大会出た人だよね!?大会を見に行った時に、少しだけ見たことある!!身長高くて、綺麗で爽やかで…超カッコ良かったよ!!」
すぐに、お兄ちゃんのことだとわかった。
同じ中学だったらわかるけど…他の地区の子達まで知ってるって、スゴイな。
「さすが、涼真先輩!!!カッコイイぜ!!」
隣にいる光太郎は、自分のことを褒められたかのように喜んでいる。
「…そこまでモテなくてもいいのに」
ボソッと無意識に出てしまった言葉だった。
「何だよ、真優?何か言った?」
ドキ。
「いや…別に」
光太郎に聞こえてしまったみたいで、慌てて誤魔化す。
「新入生の皆さんは、こちらで受付をしてくださいー!受付を済ませた方は、体育館へ移動してください」
校舎の方からそんな案内が聞こえ、光太郎と一緒に受付の場所へと向かった。
そして、受付を済ませると体育館へと向かう。