黒豹プリンスと傷だらけのプリンセス
「うそ……すごい」


私はその話にすっかり魅せられて……

そしてふと、あることに気付いた。


「そうだ! じゃあ、このパルト城にもあるってことだよね? その赤い宝玉」


するとレオパードは、少し困った顔をした。


「はい、それはまぁ……」

「すごい! 私も見たい、その宝玉!」


私はワクワクと胸を躍らせてレオパードにねだった。

すると彼は、ふぅっと深く溜息を吐いてオルビを見つめた。


「オルビ。今日は、お喋りが過ぎましたよ」

「あら、レオパードプリンス。私が言わなくても、プリンスがおっしゃっていたのではありませんか?」

「しかし、その在り処はパンター内でも機密のことで……」

「それでもきっと、プリンスはおっしゃってましたよ。プリンスは昔から、うららプリンセスのためならば、どんな禁忌をおかすことも厭わない人でしたから」


悪戯な笑顔を浮かべて言うオルビに、レオパードは苦笑いを浮かべた。


「まぁ、それは否定できない……か」


そう言って、彼はポリポリと頭を掻いた。




「ねぇ、早く、早く! 赤い宝玉、見てみたい!」


私はそんなレオパードの手を引いて……

彼は渋々といった感じで城内の廊下を歩き、宝玉の在り処まで私を案内してくれた。
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