独占したい、甘々に。【完】
悠乃はこちらへ一切振り向かず、私の手を握る力を更にギュッとさせたのだった。





急にどうしたんだろう。





私は悠乃の手を離すことは出来ず、そのまま悠乃に引っ張られるような形で歩いたのだった。





斜め後ろから見える悠乃の横顔は、どこかほんのりと赤く染まっているようにも見えた。





私の見間違えかな。


…それか、もしかして熱でもあるとか!?





だからこんなに悠乃の手が暖かいんじゃ…





なんて呑気なことを考えていると、いつの間にか家に着いていた。





そしてピタッと足を止めると、握っていた手はゆっくりと離された。





何も言わない悠乃を心配し、私は回り込んで顔を覗こうとした。





しかし悠乃は片手で顔を半分覆ってしまい表情を伺うことが出来なかった。
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